信濃毎日新聞 2005/04/11掲載
1月中旬から下旬にかけて、沖縄・奄美への旅に出た。
そして点々と並ぶ小さい島々、石垣島、与論島、沖永良部島、徳之島、奄美大島などの小、中学校、幼稚園、養護学校などを訪問し、「理科実験教室」やサイエンスショーを行ってきた。
寒い信州から暖かい南の島に来ると、まさに別世界の感があった。
実験内容は、飯田での「巡回科学実験教室」でよく取り上げられる水ロケット
風船ロケット、ブーメラン、ゴム風船のサッカーボール、ストロー笛や科学手品など。
どの島の子どもたちも初めて体験する実験なので、夢中で取り組み、歓声を上げて
体育館を駆け回り、校庭で空高く飛ぶ水ロケットを打ち上げていた。
とりわけ、4日間滞在した与論島の印象が深い。
島の周囲は約26キロ、半径4キロの円の中にすっぽりと入ってしまうほどの小さい島で
中央の展望台に立つと島全体を見渡すことができ、エメラルド色の美しい海とさんご礁、そして白い砂浜が続いている。
人口は約5000人で、小学校が3校、中学校が1校ある。私はそれらの学校を訪ねた。
私が与論島に強い魅力を感じるのは、島が美しいだけではない。
すべての人々がこの島を心から愛しているからである。
それは小学生たちが歌う「ハミンジャイ・ユンヌ(愛しているよ、僕らのヨロンを)」という歌に象徴されている。
ここでは町の教育委員会や学校、家庭、地域社会といった大人たちみんなが一体となって子どもの教育にあたっているのである。
その姿勢に感動した。私が訪ねたどの学校でも、子どもたちと先生が一緒になって理科実験に取り組んでいた。
私の実験は、一人一人の子どもたちに科学の不思議さ、美しさ、楽しさを体験させることを目的にしている。
与論島のすばらしい教育環境の中、私の思いが届いたのを感じた。
驚いたことに、各校の児童・生徒全員から感想文が寄せられたのである。
「理科実験はとても楽しかった。来年もぜひ来てほしい」という強い希望が、先生からも子どもたちからもあった。
来年も与論島で子どもたちと楽しい実験ができることを祈っている。
※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。