地域に根付く・・・科学教育の実践

信濃毎日新聞 2004/09/27掲載

今から12年前、「青少年のための科学の祭典」が始まった。
その年、第一回は東京、大阪、名古屋のいずれも科学館を会場として行われ
東京では九段の科学技術館で6日間開催された。
私は当時、日本物理教育学会副会長として、その企画・実行を科学技術庁から依頼され
第1~4回の全国大会実行委員長として、日本各地におもむき、各地での開催のための手助けをした。

現在、この「科学の祭典」は全国約80の都市で毎年一回ずつ行われ、対象も数十万人の親子となった。
またそれに参加して実験ブースを受け持ち、ワークショップやサイエンスショーを行う小・中・高校、大学の先生方も数千人となり
各都市での大切なイベントに発展してきた。

長野県でも信州大学が中心となって、キャンパスがある長野市、松本市、上伊那郡南箕輪村、上田市などで行われており
2日間で一万人以上の親子が毎年、科学実験を楽しんでいる。

「科学の祭典」は、広く日本中に科学の大切さ、楽しさを伝えるために大変優れた方法であるが
次にわれわれのなすべきことは、こうして芽生えた科学の楽しさを各地域に定着させ、深めていくことである。

それには年一回のイベントではなく、科学教育の毎日の実践が大切である。

私が6年前からふるさと飯田市に来たのは、そのためにほかならない。
市の教育委員会とともに、母親を中心とした教育ボランティア「おもしろ科学工房」を組織し
約40名のスタッフと毎日「巡回科学実験教室」として飯田下伊那地方の小・中学校に赴いて
「モデルロケットの打ち上げ」や「超低温の世界」といった実験を行ったり
週末に「かざこし子どもの森公園」で「理科実験ミュージアム」を開いて親子を対象に「万華鏡作り」などをしたり
中学校の科学部の指導をしたり―――。
そうした取り組みを地道に進めていく中で、この地域での科学教育が定着・深化している手ごたえを感じつつある。

※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

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