若い母の思い、希望を感じる

信濃毎日新聞 2005/07/18掲載

飯田市かざこし子どもの森公園でわれわれが行っている「理科実験ミュージアム」に
何と通算36回も参加して、子どもと一緒に実験を楽しんでいる若い母親がいる。
先日、彼女からの感想文を拝読し、その教育に対する識見の深さに感動した。

小学校二年生と幼稚園の年中の男の子がいるという彼女の感想文にはこうあった。
「子どもたちが『理科実験ミュージアム』が大好きで、毎週のように通っています。
いつも、今日は何をやるのかな、と親子で楽しみにしています。
『虹をつくろう』というテーマの実験では、雨粒と光の屈折についてのお話しがありましたが、子どもたちは虹をつくることに夢中。
しかし、先生は『それでいいんですよ。体験することが大事なんです』とおっしゃいました。
私もいつか子どもたちが学校で学ぶときに、ここでつくった虹のことを思い出せばきっと科学が好きになるかも、と期待しています。
(中略)こんな機会を与えてもらい、幸せに思います。本当にたのしいです」

自分の手や頭を使って物を作ることが子どもにとっていかに楽しく、その子自身の創造性を伸ばすために大切なことか-。
心理学、教育学などさまざまな場面で強調されるところである。
にもかかわらず今の世の中はどうだろう。

テレビやゲームに何時間も漬かり、読書は少なく、食事も睡眠も不規則で、学校や学習塾で暗記学習を強いられ…という子どもたちは少なくない。
揚げ句の果てに善悪の見境がなくなるほど「キレル」ケースも増えている。
また、子どもの教育にとって有用な場所が近くにあっても、それを利用することすら考えない親たちも多い。

おそらくモノや情報があふれる時代にあってそれぞれに忙しく、本当に大切な物事が分かりづらくなっているからなのだろう。
そう考えれば非難ばかりはできないが、それでも「いまどきのライフスタイルだから」と割り切れる問題ではないはずである。

だからこそ、感受性が強い時期の子どもたちに「何が必要か」を的確に理解し
それを実行して何度も何度も実験に参加するこの母親の姿は、われわれの目には何とも力強く映る。
決して大げさにではなく、日本の将来に希望を感じさせてくれるのである。

※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

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