私の心を動かした科学の体験ーその7

「太陽系の広さを知ろう」 

日本の宇宙探査機「はやぶさ」が、太陽をまわる小さな惑星となり
7年間、60億kmを飛び回ったという記事が、何度もマスコミで取り上げられたが
一体宇宙のどこをどのように飛んで行ったかはどうもよく分からない。
また「はやぶさ」がランデブーを果たした小惑星「イトカワ」も太陽のまわりをまわり
時々地球にも近づく軌道をはしっているというが、その軌道はよく分からない。

広い太陽系内の惑星の運動を子供達が理解するためには、
まず太陽系全体の太陽からの距離と惑星の軌道の様子を理解しておくことが大切である。
1770年頃、ドイツの天文学者ティティスとボーデが見つけた「天空の法則」
(ティティス・ボーデの法則)は、太陽系がいかに規則正しく軌道を画き
当時発見されていた水星・金星・地球・火星・木星・土星の6個の惑星と
太陽からの距離(軌道半径R)の間にある関係を調べて発見した大変簡単な数列で
小学生でも計算できるものである。
この「天空の法則」は後日1781年にハーシェルが見つけた新しい惑星天王星の軌道にもぴったり合い
またこの法則の計算値の中に未知の星があるのではないかと探した結果遂に小惑星ケレスが見つかり
小惑星帯の存在が判明した。

まずその数列を図1により計算してみよう・図3にその結果を示す。

図1

図3

また1600年頃ケプラーは太陽と惑星の運動についての至って重要な法則を発見していた。
(第一法則)-惑星の軌道は楕円である。
(第二法則)-太陽と惑星との間で画く面積速度は一定である。
即ち、惑星は太陽の近くを通る時は早く動き、太陽からと遠ざかるときはゆっくり動く。
(第三法則)-惑星が太陽と1周する時間、周期(T)と
太陽と惑星の軌道半径(R)の間にはT/R=一定の関係があるという画期的な法則である。

昨年2009年はガリレオが望遠鏡を自作して、月や木星の衛星や太陽の黒点や
天の川を観察した1609年から丁度400年目で、
新しい天文学の出発を記念して世界中で「世界天文年2009」の多彩なイベントが行われた。

私もさっそくそれに取りくみ、1年間かけて太陽系儀を組み立てた。
1年間52週に分けて送付される部品の沢山の歯車などを使い正確な周期で太陽のまわりをまわる8個の惑星と
冥王星やケレスなど4個の小惑星の動きを見ていると、
地球は1年間に12の黄道星座の間を動くのに、木星や土星は遠方のため動きがおそく
1個の星座の中をかすかに1年間に動くのが分かる。
またストップウオッチで、各惑星の回転周期をはかると、ケプラーの第Ⅲ法則から
直ちに軌道半径も計算で求められる。
おいで館に保管されているこの太陽系儀もぜひ子供達に観察させたいものである。

こうして図3のように、太陽系の惑星と小惑星の距離が、規則正しく配置され、
単位1AU(天文単位)=1.5億kmが太陽と地球間の距離であり
「はやぶさ」や小惑星「イトカワ」が、どのような軌道をどの位の速さで動いているかも
理解することが可能になることが期待される。

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