私の心を動かした科学の体験   その4

「備長炭電池と超電導ジェットコースター」

「青少年の為の科学の祭典」が日本各地の主要な都市で開催される様になると
理科の先生方が活発に発表する様になり、新しくユニークな実験が各地で開発され
それらは直ちに各地の祭典で取り上げられ、急速に全国に普及していった。
主催者の科学技術庁はそうした動きに目をつけ
「科学技術教育自作教材コンクール」により、先生方のより良い実験教材を発掘するようになった。
私は祭典の全国大会委員長だったので、そのコンクールの審査委員長を命ぜられた。
全国から優れた実験の応募論文が多く集まり、5名の審査委員が論文を読んだ。
その中にずば抜けて優れた論文が2つあり、科学技術長官賞を受けた。
1つは東京の米村傳次郎先生の「備長炭電池」で
もう1つは岩手の佐々木修一先生の「超電導ジェットコースター」であった。

備長炭電池の発見は忽ち広く知れわたり
10数年たった現在でも、全国各地の小・中・高校での理科の実験で取り上げられ
理科教育に多大の貢献をしている。
材料は備長炭とアルミホイルと、キッチンペーパーと食塩だけで
誰もが至って簡単に強力な電池が作れるもので
小型モーターをまわし、豆電球を点灯し、メロディICを鳴らすことができ
電池の原理が大変分かり易い。

また「超電導ジェットコースター」は、鉄板の上に2000個のネオジム磁石を張りつけたレールを
メビュースを帯状に曲げ、その上を液体窒素で冷やした超電導体を高速ではしらせるものである。
レールの上5mm程浮上した超電導体を指ではじくと
それは無摩擦状態で勢いよく飛びまわり、超電導浮上のリニアモーターカーの原理が良く分かる。

その年アメリカで開かれたNSTA(国際科学教育者会議)にお二人も装置を持参して参加し
実験ブースを作って発表した。
それは大変興味を呼び、二人のブースは見学者であふれていた。
かざこし子どもの森公園の「おいで館」にも備長炭電池・活性炭電池と・メロディIC・モーター・豆球などが
1学級30名の生徒実験がいつでもできるように、多くの材料はコンテナに整理されている。
また実験内容のビデオとテキスト「教えて!ボルタ先生」も私は科学技術広報財団の依頼を受けて制作し
おいで館に保管されている。
また「超電導ジェットコースター」は飯田信用金庫が、市の教育の為にと購入し、寄贈してくださり
「おいで館」に保管されている。
例えば平成19年には県立飯田高校において、朝日新聞のオーサービジット主催でこの装置を使った授業が行われ
「おもしろ科学工房」のスタッフが液体窒素で超電導体を冷やして
コースターの上を浮上させ、無摩擦の状態で高速で走らせた。
恐らく自治体としては全国で飯田にしかない、優れたまた珍しい実験に生徒は目を輝かせていた。
JR東海のリニア中央新幹線も、Cルートとして東京―甲府―飯田―名古屋が考えられている。
飯田市に駅を作る為にも、その走行の原理の説明に
このリニアモーターカーの模型として、「超電導ジェットコースター」を学校の授業や
各地のイベントに大いに活用すべきではないだろうか。

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