「子どもたちに夢と希望をいだいてもらいたい」。そんな思いで「後藤道夫先生」と私たち「おもしろ科学工房」はこれまで活動を続けてまいりました。その活動に、関係各所からのご理解とご協力をいただき、このたび夢の実験装置「超電導ジェットコースター」を寄贈していただきました。
これは2006年5月に行われたイベント「おもしろ科学大実験」の中で使用され、大きな反響をいただいたあの「超電導ジェットコースター」を、飯田信用金庫さんがなんと飯田市に寄贈してくださったのです!
これは、飯田市橋南再開発事業第二地区に建設された信金本店ビルの、新社屋完成にともなう記念事業として行われたものです。
これまで私たちは、開発者・佐々木修一先生のご厚意により、「超電導ジェットコースター」をお借りして巡回科学実験教室を行ってまいりました。そしてこの装置が子どもたちに大きな驚きと感動、夢と希望を与えてくれることを確信してきました。世界にまだ数台しかないこの貴重な装置を、これからもずっと使うことができたら…。後藤先生も私たちもそういう思いでいっぱいでした。しかし装置はたいへん高価なもので私たちだけではどうしようもありませんでした。
ちょうどそんな中、今回のお話が持ち上がってきたのです。
新本店の完成祝賀会をひらく代わりに…
「下伊那すべての人々にとって何をしたらよいか」を協議した結果、新本店の完成祝賀会をひらく代わりに、その費用を飯田下伊那地域の子どもたちのために使おうということになり、今回のお話を実現してくださったとお聞きしました。信金さんは、このほかにも飯田下伊那地域の72にもおよぶ小・中・養護学校に合計400万円分もの図書カードを贈られています。
飯田信用金庫でのデモンストレーション
未来をになう子どもたちの成長を願って
ここ飯田下伊那地域は電気機械など製造業が盛んです。そんな環境の中で、将来をになう子ども達が科学に興味を持ち、やがては飯田を、下伊那を、そして日本を背負って立つような人になってほしいとの願いが、このプレゼントにはこめられています。そしてそれは後藤先生をはじめ、私たちおもしろ科学工房も思いを同じくすることころです。
子どもたちがもつ科学に対する好奇心や発想力は、はかりしれないものがあります。それを十分に引き出すには「機会を与える」ことが重要だと私たちは考えます。超電導ジェットコースターは子どもたちの好奇心を刺激し、理科や科学の世界へいざなうことのできる大きなパワーを持っているのです。
超電導ジェットコースターとは?
横幅は140cm、滑走距離はおよそ220cmのレールです。このレールの上に1cmほど浮上した超電導体がすべるように滑走します。
「超電導」とは物質が、「ある特殊な状態になったとき」のことをいいます。このとき「超電導体」には「ふしぎな現象」が起きます。超電導ジェットコースターはこの現象を見事に利用した画期的な実験装置です。
「メビウスの輪」の形をしたレールの上には2000個にもおよぶ強力な「ネオジム磁石」がはりつけてあります。超電導状態となった滑走体は、「レールからおよそ1cmほど浮上」します。
滑走体に力を加えると滑走体は浮上したまますべるように「メビウスの輪のレール上を走ります。」たとえ逆さになったとしても落ちることはありません。その様子はまるで空間に用意されたレールの上を走る銀河鉄道のようでもあります
巡回科学実験教室でも大活躍!
本年度の「巡回科学実験教室」で超電導ジェットコースターは大活躍!目の前で起こるふしぎな現象に、子どもたちは大喜びです。子どもたちはもちろん先生の目もくぎづけです。
何の支えもなく、ものが宙に浮くというこの現象は、にわかには信じられません。しかし、それが現実に目の前で起こっている。いったいどうしてなんだろう? 子どもたちの興味はつきないことでしょう。
子どもたちが理解できるように説明することは難しいことですが、何よりも体験することでそれを上回る教育的な効果があると、私たちは思います。
今後の巡回科学実験教室でも、きっと「超電導ジェットコースター」は大人気となることでしょう。このような教材を使えるようになったことに、あらためて関係各所の方々に厚く御礼申しあげます。
■上郷小学校での巡回科学実験教室より
・実験に参加した子どもたちの表情をぜひご覧ください。
開発者・佐々木修一先生のご紹介
この装置を発明されたのが佐々木修一先生です。平成7年、佐々木先生は岩手高等学校の先生でした。そのころ製作した超電導ジェットコースターを「第1回科学技術体験活動アイデアコンテスト」に出品、見事「科学技術長官賞」を受賞されたのです。(同年、同賞の受賞者には、かの米村傳次郎先生もいらっしゃいます。)
当時この賞の審査委員長をなさっていたのが、なんとわれらが後藤道夫先生です。後藤先生ご自身、超電導体の研究をしていたこともあって、この装置の可能性を非常に高く評価されたとのことです。当初ループ状のコースだったものを「メビウスの輪の形に変えてみては?」とアイデアを出されたのも後藤先生だそうです。
佐々木先生はこれまでに磁気を利用して浮上する装置の数々を研究されてきました。現在はそれらを教材として販売する会社・LEVI(レヴィ)の社長さんです。
先生はまた新たなアイデアを形にするべく、現在も開発に取り組んでいらっしゃいます。うれしいことに、そのアイデアはここ理科実験ミュージアムで思いついたのだそうです。
近い将来、先生はふたたび飯田市にやってきてくれることでしょう。また新たな夢と希望を持って。その日をみんなで楽しみに待っていましょう!
●おもしろ科学大実験(2006年5月3日)のレポートはこちら >>
●佐々木先生のご活躍
「超電導先生」岩手大の客員教授(2002年3月18日 岩手日報)
世界初 鉄球が空中浮上(2003年12月25日 盛岡タイムス)
世界初 永久磁石使い鉄球を安定浮上(2003年12月25日 岩手日報)
起業家たちの挑戦(2006年3月1日 盛岡日報)
ごあいさつ
ここに至るまでに飯田信用金庫さんはもちろん、各方面からたくさんのご厚情をいただき、おかげさまで、私たちは「超電導ジェットコースター」という最高の教材を手に入れることができました。私たちはこれからも教材を使って飯田下伊那地域や学校などさまざまな場所で、子どもたちにさらに科学への興味を持ってもらえるよう活動をしてまいります。
このようなすばらしいプレゼントをくださり、本当にありがとうございました。