夏目雄平先生の特別講座「水のふしぎ」「陽炎(かげろう)実験」

2023年9月24日(日)夏目雄平先生による特別講座が行われました。
長野市出身の夏目先生から、同じ長野県出身の後藤先生が始められた理科実験ミュージアムで実験をしたいとお話があり、今回の特別講座が実現しました。午前中に「水のふしぎ」、午後に「陽炎(かげろう)実験」の2つの実験をしていただきました。

午前の部「水のふしぎ」

最初の実験は、料理に使うザルで水をすくう実験です。普通に考えると、水はザルをすり抜けてしまうはずです。ところが、水を入れて逆さまにしたコップをザルの上に置くと、水をすくうことができました。ザルの目に働く水の表面張力と、大気圧の作用で水がこぼれることなく支えられています。

ピンポン玉でも同じように実験できます。大気圧の働きによって、逆さまのビンに入った水がこぼれることはありません。地上から10kmくらいの高さまである空気の重みが、大気圧としてかかっているそうです。

次は水の表面張力についての実験です。水の上に1円玉をそっと乗せると1円玉が水に浮かびました。このとき水面をよく観察すると、1円玉が水面から少し沈み込んでいて、それに引っ張られるように周りの水面がへこんでいます。水の表面張力、1円玉自体の浮力、水面がへこむことによる浮力などの作用が合わさって1円玉は浮かんでいるそうです。簡単な実験なのにふしぎな現象がいくつも関わっていることに驚きました。

これは普通の紙皿に見えますが、じつは表面に水をはじく撥水剤と呼ばれる物質がぬられています。紙皿の上に水を少し落とすと、水は丸い形の小さな水滴になるのがわかります。撥水剤は雨の中でも水をはじくカッパや、中身がくっつかないヨーグルトのふたなどに利用されているそうです。

この撥水剤を使ったふしぎな実験です。水槽の底に撥水シートを敷いておき、木の板を水底に押し付けます。木の板は水に浮かんでくるかと思ったら、なぜか水に沈んだままです。撥水剤の作用で木の板の底に水が入り込まないため、木の板に浮力が働かないので浮いてこないそうです。

水槽の底の撥水シートに、注射器型のスポイトを使って空気の泡を沈めてみます。するとふしぎなことに、撥水シートに空気の泡が張り付いて浮かんできません。これは夏目先生が考案した初公開の実験です。

午後の部「陽炎(かげろう)実験」

午後はテーマを変え、かげろうの実験をしていただきました。暑い日にアスファルトの道路などで遠くの景色がゆらゆらして見える現象が「かげろう」です。このかげろうを起こす装置を自分たちで作って実験します。

画用紙を折り曲げてスクリーンを、LEDと電池をつないで光を出す部分を作ります。そして小さな水槽とパインアメを用意します。パインアメを使うのは真ん中に穴が開いていて、割りばしに固定するのに都合がいいからだそうです。

夏目先生の説明をよく聞いてから、LED、水槽、パインアメ、スクリーンをこのようにセットします。パインアメの影がスクリーンのちょうどいい位置になるようにLEDの位置を調整します。

パインアメの下が水面にふれるくらいに水槽に水を入れます。するとスクリーンにゆらゆらとした流れが現われました。パインアメに含まれる砂糖が水に溶けるとき、屈折率が変化してかげろうのようにゆらゆらした模様が見えるそうです。

このように光の屈折率が変化してゆらゆらした模様が見えることを、シュリーレン現象と言います。アスファルトの道路などで見えるかげろうも同じ原理です。飛行機の周りの空気の流れを観察するのにも、このシュリーレン現象が利用されているそうです。

午前中には世界初公開の実験を見せていただいたり、午後にはシュリーレン現象の実験装置をみんなで作ったり、夏目先生には身近な現象から最先端の専門的な内容まで、わかりやすく実験していただきました。今回の特別講座では貴重な体験をすることができました、夏目先生ありがとうございました。

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