令和4年12月17日(土)飯田文化会館大ホールで行われました
基本テーマ「伸びよう 伸ばそう 青少年」
おもしろ科学工房の現状報告を行いました。
演 題 「あっと驚く感動体験から、ふしぎの心を育てたい」
報告者 南信州飯田おもしろ科学工房代表者 三 浦 宏 子 氏
私たちの活動は、ここ、かざこし子どもの森公園 おいで館で、子どもたちにあっと驚く体験や実験を通して、どうして? なぜと? 考える力 想像する力を育む活動を行っています。メニューを一つ 紹介したいと思います
それでは 飛ばしてみます。 みなさんに向かって投げたことが無いので 危険を感じたときは手で撃ち落としてください。近くに落ちたら記念にお持ち帰り下さい
ちょっと不思議だな 何故 と感じていただけたでしょうか?こんな実験を始めて今年で21年を迎えました。 たくさんお話したいことはありますが、この活動の基礎を作った後藤道夫先生と科学実験教室を 中心に お話ししたいと思います。
まず、後藤道夫先生ですが、30年ほど前になるのでしょうか、日本の理科離れを何とかしたいという国の提案を受けて、「青少年のための科学の祭典」を開き、全国大会の実行委員長を務めました。その活動の中で、年に一度のイベントではなく、子どもたちが自由に来て 自由に実験ができる場所で 自由に工作 実験が出来ること それが、創造力を高め 子どもたちが 理科を好きになると 考えるようになりました。
そんな場所を探して 72歳の時、生まれ故郷の飯田市に来ました。
後藤先生は、交通費も宿泊費も何もいらない 実験道具・材料をすべて用意するので 子どもたちに実験をやらせて欲しいと 飯田市教育委員会に提案しました。教育委員会は、それに応じて、巡回科学実験教室を開き、学校でいろいろな実験・体験を行いました。その様子です。
おもしろ科学工房は、そんな先生の活動をサポートする為にできた ボランティア団体です。
2002年に、かざこし子どもの森公園がオープンして 先生の念願であった 理科実験ミュージアムが出来ました。私たちもその活動を支えるとともに、先ほどのブーメランを始め、浮沈子、風船の串刺し、バルーンスライムなど 100近いメニューを体験して とても楽しく わくわくしました。簡単な工作 実験なので 体験すると今度は 誰かに教えたくなります。そんな中、地域から、子どもたちに工作を教えて欲しいという 依頼がきました。 2002年に 松尾地区の文化祭に行きました。
壁の近くで見ていた育成部員の方々も興味深々だったので、大人も楽しい工作と思い 翌年からは、30分前に集合して 内容を覚えてもらい、子どもたちの指導を一緒に行うようにしました。これにより、育成部員も楽しむことが出来 積極的にかかわりを持つようになりました。この様子をみていた公民館主事の提案で、松尾地区でも 独自のボランティア活動を行う為に、松尾サイエンスを立ち上げました。2009年に出来た松尾サイエンスは、年3回 松尾サイエンススクールを開いています
私は、体験したたくさんのメニューの中で先生の考案した本物の火薬エンジンを使ったモデルロケットを、どうしても子どもたちに体験させたいと思っていました。科学の好きな子も、嫌いな子も カレンダーとフィルムケースを使って、自分で 作った火薬ロケットが、クラス みんなのカウントダウン 5・4・3・2・1 発射! で、火を噴いて飛んでいく その成功体験は、子どもたちの心に、いつまでも残ると思いました。これには、多くの方の協力がないとできません。
そこで、青少年健全育成会の会長さんにお願いして、校長先生と相談してもらいました。2011年、青少年健全育成会 小学校 松尾サイエンス おもしろ科学工房が、連携 協働して 松尾小学校5年生164人が、授業の中で モデルロケット制作と 打ち上げを行いました。その様子です
この活動は、現在 ロケット打ち上げだけではなく、花をバラバラにしたりする液体窒素の実験など、実施する学年、メニューが増え ほかの学校へも広がりを見せています。地域と学校が協働して行う科学実験教室は、今年度、飯田市内の学校9校で20の学年が行いました。
私は、この取り組みが、コミュニティスクールの先駆けと思っています
20年間この活動を行ってきて、子どもたちの自分で考える力を育むことが、とても大切だと感じました。これを、こうすると どうなるだろうと 想像する力
自分で考えて判断できること。これが、生きていく力につながると思います。
理科実験ミュージアムで行われているメニューを 学校のクラブでも行っています私は、あっと驚く体験を最初に行い どうして? 何で?と考えるように話しかけています。どうしてという 不思議の心 これが考える力につながります。
最後になりましたが、いつもクラブで行っている メニュー 輪っかとりペン落としを紹介します。
輪の上にペンを置き、そのまま輪を引き抜くと ペンがペットボトルの中に落ちるという 慣性の法則を使ったメニューです。何度も失敗を繰り返し、やり方を考えて、上手にできるようになった子どもたちが、自分たちで 順番を決めて チャレンジしている姿です。最後にこれをご覧いただき 私の話を終えたいと思います。
パンフレットより
南信州飯田おもしろ科学工房の概要
名 称:南信州飯田おもしろ科学工房
所在地:長野県飯田市大久保町2534番地 飯田市教育委員会 生涯学習・スポーツ課内(事務局)
設 立:平成13年6月
代表者:三浦宏子
スタッフ数:51人(令和4年11月現在)
活 動: サイエンスプロデューサー 故 後藤 道夫先生(元かざこし子どもの森公園名誉顧問 著書:子どもにウケる科学手品77)が、飯田市教育委員会の協力を得て始めた「巡回科学実験教室」をサポートするために、市の呼びかけで結成された科学教育ボランティア組織。
「日常のあっと驚く科学体験を、感受性の高い少年少女期に体験することで、子どもたちに『ふしぎの心』をいだかせ、科学への興味を持つことにつながる」という後藤道夫先生の理念に基づき、各地で地域活動と協働しながら科学体験教室を行っている。
*理科実験ミュージアムの運営
「かざこし子どもの森公園おいで館」で、4月から11月の土日開催(第2・4土曜日を除く、現在はコロナ禍のため日曜のみ開催)身近な材料や道具を使って、100余のメニューから毎回違った工作や実験を無料で行っている。これは、後藤道夫先生の子どもたちが自由な時間、自由な材料を使って、自由に制作することが創造力、考える力を育むという考えに基づいています。運営は市の補助金で行い、指導・運営に当たるスタッフはすべてボランティア。高校生ボランティア・企業への活動協力要請も行っている。
*出前工房・学校での科学実験授業・学校&幼稚園支援
学校・PTA・地域の要請により、サイエンスショーや理科実験を地域に出向いて、住民と共に協働して実施。特に小学校の授業として行う科学実験教室は、公民館と協働し飯田コミュニティースクールの取組を応援している。
*公共施設とのコラボ
平成24年、飯田市立図書館との理科関連本の利用と実験をつなげたコラボ企画をきっかけに、現在は飯田市内の理科関連施設(飯田市美術博物館・飯田市立図書館・天竜川総合学習館かわらんべ・飯田市立動物園・下伊那教育会生物委員会・伊那谷自然友の会・かざこし子どもの森公園・南信州飯田おもしろ科学工房)と、科学の種を蒔こうと「たねの会」を結成し、合同企画「南信州サイエンスクエスト」を実施している。
*運営実績:平成13年から昨年度までの20年間に開催した回数・参加人数
理科実験ミュージアム1000回11万人 出前工房590回4万5千人 科学実験教室・クラブ等390回1万7千人 コロナ禍であっても地域と協働して実施している学校の科学実験教室は、1回も中止することなく子どもたちを育むために続けています。